暗い絵 顔の中の赤い月 野間宏 講談社文芸文庫
この本は、自分にとって永らく謎の本でした。20代の頃の手帳に、付箋に「暗い絵」とだけ書いて貼ってあったんです。読んどけリストに記載されず、付箋に書いてあったと言うことは、何か…急なメモだったのでしょう。ところが、著者も出版社も書いてない…もしかするとCDかもしれないし、誰かの曲かもしれないし…本当に絵のタイトル…ただの感想かもしれないし…。自分のメモは、本当に後から見ると…わけわからんのです…。
そんなわけで、ずーっと埋もれていたのですが…引越しの時に…付箋がベタベタ貼ってある手帳を発見し…なんだこれ?っと思って検索したところ…野間宏さんにぶつかったのですが…どうしても思い出せなかったので、放っておいたのです。まぁ、縁があれば読むことになるだろう…という感じです。ところが、またまた引越しの時に…今度はブリューゲルの本が出てきて…何か…モヤモヤした記憶が…よみがえらなかったんですがね~。
ま、そんなわけで、そういう本がある事は知っていましたが…積極的には求めてなかったのです。が…今回の講談社文芸文庫の解説目録をパラパラ見ていたら…!!これで読んどけリストの1つが消える!と言う事で、読んでみました…。
読みました。いや~大変な作品でしたね。全体的に暗いです。また、場面が非常にイメージしやすいのですが…それを維持するのが難しいというか…気を許すと違うことを考えていて…いつのまにかページが進んでるという事態がしばしば…。いかんいかん…と、戻って読むのですが…また…違うことを…。
イマイチ、難しくないのに没入感が得られないという不思議な本です。体調のせいかなぁ~。
短編集なので、6作品が収録されています。全ての作品に戦争の影を感じる頃の話です。大きな事件があるわけでもなく、登場人物の心情描写がほとんどかもしれません。
自分が面白いと思ったのは、「顔の中の赤い月」と「残像」ですかね~。どちらも、言葉にできない想いがあって…くぅ~って感じです。
たまたまなのですが、京都に出張があって、新幹線で読もうと持って行きました。暗い絵は、京都の話だったので…おぉ~すごい偶然という感じでした…。
この短編集の作品は、野間宏さんが若い頃の作品のようです。脂が乗ってきた頃の作品も読んでみたいですね~。戯曲も書いてるんですね~。
それにしても…表紙もすごいですよね〜。タイトルが金ピカの文字で書かれています。平積みだとキラキラして目立っちゃうかもしれませんね。30周年という事で、特別な表紙なのかもしれません。